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2025年最初のイベント「大阪の陣」と「文学フリマ京都9」を終えて、NEJIは無事に帰京しました。

 

以前に少しだけ関わっていたブランド「Out Of Trad」のポップアップを含めると洋服屋として大阪へ出店するのは3回目だったのですが、それに比べて「文学フリマ」。約900のブースが軒を連ねる会場で、まるっきりのストレンジャー(よそ者)みたいにふらふらと搬入&販売する時間は僕にとって非常にフレッシュな体験でした。洋服屋を25年以上もやっていると、ベテラン選手の気分に浸ってしまいがちなのですが、文学界におけるNEJIはルーキーどころか、新弟子検査すらも合格していない丸っきりのペーペー。長い年月の中で自分が何かを成し遂げてきたとか、何者かであるとか、そんな勘違いをしないためにもアウェイ環境にあっさりと身を置くことはとっても重要なのだと再確認しました。いつでも失敗できる、という心構えで新しいことに挑戦する。なんと素晴らしい時間の過ごし方なのでしょうか!NEJIは2025年もたくさん失敗していく所存です。

 

さて、そんな所信とは裏腹に「文学フリマ京都9」では嬉しい来客に恵まれました。初めましての方もお久しぶりの方も想定外の更に外の方も、「ともすれば、1冊も売れないんじゃないか」という僕の事前予想を大きく裏切る形で皆様にお会いできて、心より感謝しています。「いつも見ています」と言って下さる方、5年ぶりに会った友人、ファッション業界の大先輩、共通の知人を介した(しかし実際にはほぼ初対面の)デザイナー、京都でのすべての出会いがこれまでの僕の人生に張り巡らせられた伏線を回収しているかのようにも一瞬思えました。しかし、現実は小説じゃない。プロットやラストシーンを想定して逆算するような生き方は(よほど器用でない限り)不可能で、むしろそんな人生は味気ない。実際には、一寸先が分からない闇の中でもがく姿を「どこかで誰かが見てくれている」だけだと思います。こちら側からそのウォッチャーの姿が視認できないのだとすれば、やはり重要なのは「あがき」そのもの。ふと、隣の席を見たら、僕が共同出店を誘った漫画家・電気こうたろう(超・内気な性格)が来場者に向かって一生懸命に声を出しながら「漫画作品ですー、よかったらどうぞー」と、あがいていました(彼の作品は僕よりもずっとたくさん売れました)。

 

そうそう、来客とは別で、今回僕が特に嬉しかったのは電ちゃんが(彼には「アンド・アイ・ラブ・ハー」の見本誌を事前に1冊渡してあったのですが)「サイコーだった、めちゃくちゃ良い小説だった!」と褒めてくれたこと。僕が大好きな作家が僕の作品を好き(ラブ)でいてくれることは、シンプルに嬉しい。そういった小さな喜びを胸に、目の前のことを生き抜いていきたいと誓った2025年1月でした。「ラブ」とは、僕らが想像しているよりも、ずっともっと小さなものなのかもしれません。

 

 

 

NEJI 鶴田

2025.01.22