NE JI ブログ

『孝行とキャバレー』

僕の実家は熊本県八代市。県内第二の都市だなんて言われている(いた?)けれど、ハッキリ言ってド田舎だ。かつては「い草(畳表の材料となる)」で栄えた田園地帯の農家たちももいまやすっかり衰退してしまった。三人兄弟だった我が家だが、妹二人も県外へ嫁いでしまい、現在は広々とした実家に両親2人が住んでいる。1月の半ば、父親が喜寿の誕生日を迎えるので、お祝いがてら帰省することにした。1週間の滞在中に、酒を送り、家事を手伝い、夕飯を作るなどしてあげたら、父も母も随分と喜んでくれた。

が、今回の帰省にはもうひとつ目的があった。母の弟である叔父をモデルに据えてDEAD KENNEDYS CLOTHINGのイメージルックを撮影することだった。舞台は、実家から橋をひとつ越えれば徒歩15分で着く川沿いにたたずむ、寂れたキャバレー。1958年創業らしいこの店「白馬」は、日本に現存する最後のキャバレーらしい。僕が小学生の頃から見かけていた場末のネオンが、数年前に坂本慎太郎がライブを行ったことで有名になった。叔父は68歳。白髪と黒い瞳が印象的な男前(身内が言うのもナンだが)なので、グレーフランネルのスーツと黒いニットタイを用意していった。叔父にスーツを着せ付けるとホステスさん2人が僕らの席に座り、4人で焼酎を飲みながら、合間合間で僕がシャッターを切った。叔父は気分よさそうに飲んで、歌っていた。出来上がりはと言えば、WORKSのページでご覧の通り。

色々な物事が年月とともに粛々と変化している。枯れていくことも悪くないかもしれないと思った。

 

 

NEJI 鶴田

2026.01.22

NE JI ブログ

『気づいたら、3周年』

2025年最後の大一番、9日間にわたるイベント「機能性とフォルム」を終えて、その翌日。NEJIは3周年を迎えました。大手セレクトショップを退社したのが4年前(2021年の12月15日)。その後、東京・外苑前のセレクトショップMANHOLEで働きながら、2022年12月22日に開業届を提出。晴れて(?)独立・フリーランスの身となったNEJI。なんだか、あっという間と言えばあっという間なんだけど、どちらかと言えば、もっと長い年月をNEJIとして過ごしてきたような気がする。以前にも少し書いたけれど、例えば1年前(2024年末)を振り返ったときに「年明け早々からKINLOCH ANDERSONの展示会に向けてスタートダッシュをかけないとなぁ」とか「大阪へポップアップに出かけるし、文学フリマ京都の準備もしないとなぁ」とか、そんなことを考えていたのが、もう3年くらい前のことみたい。というくらい、過去が遠い。(※こういった節目に振り返りを行うとき、SNSがあるのはとても便利なことですね)

 

独立してからというもの、人付き合いの種類も少しだけ変化して、自立した彼らと会って(飲みながらでも)話すときには「今、取り組んでいること」とか「これからやってみたいこと」とか、現在/未来の話題が圧倒的に増えたし、過去の思い出話とか愚痴とか不満についてはテーマとして劇的に減退した。むしろ、そうでなければ事業主なんてとても務まらないのかもしれない。だから、過去のことは積み重ねの土台として確かに自分の足元に感じるものの、現在自分の足の裏が接地している面は「いま」でしかないので、1年間でトライしたことが多ければ多いほど、過去はどんどん遠くなっていくのだろう。

 

ということで、2026年もNEJIは半年を1年間に感じるくらいの質量とスピードで生きていきたい。そうすれば、仮に残された時間が10年間だったとしても、そこには20年分の面白みが詰まっているということになる。3年間のご愛顧に感謝を込めて、ここはひとつ年末の池袋でささやかな飲み会を開こうと思っている。時間の概念をぶっ飛ばしてしまうような前後不覚の酩酊と共に、2025年へ別れを告げよう。

 

NEJI 鶴田

2025.12.26

NE JI ブログ

『安酒と年末』

早くも「皆様、今年も大変お世話になりました」という気持ちになるのは、この時期になると(必然的に)年末の企画についてあちこちで話すことになるから。人を殺すに武器は要らぬ。ことさらに取り上げず騒がず、ただ無視・黙殺すれば良いという世の中、今年もNEJIに関心を持ってくれた方々のおかげで、僕は今日も高円寺で細々とホッピー白&ししとう(ひな肉付き)2本タレを食べていられる。ささやかな安酒の幸せと、その破壊力。

みたいなことを11月半ばに言っていたら、遂にその12月がやってきた。12月13日(土)より、高円寺・Bon Vieuxで開催されるイベント『機能性とフォルム』は2025年最大のイベントになりそうです。パン屋からビスポークテーラーまで、様々なお店がそれぞれのフォルムを携えて集う楽しいイベントになりそうです。

NEJIからリリースするのは小説『さよなら、ロンググッドバイ』、フリーペーパー『ねじ画文』、そしてDEAD KENNEDYS CLOTHINGの新コレクションと盛り沢山。12月13日(土)から、木曜日の中休みを挟んで翌週末(12月21日)までやっているので、是非、皆様遊びに来てくださいね。

そうそう、安酒といえば年末にもうひとつ企画できるかな、と思っているのですが。それはまた追ってお知らせいたします。

 

 

NEJI 鶴田

2025.12.04

NE JI ブログ

『三位一体を終えて』

イベント「NEJI presents 電気こうたろうの三位一体」を無事に終えることができました。

 

参加者のご家族・お連れ様を含めた約20名の来場は、僕の予想通り開催時間の後半に倒れ込みました。なぜそんな予想が成り立つのかというと、会場がクラフトビールパブで、参加者が酒飲みばかりだから。普通に考えて「Tシャツを刷りながらパブで0次会、その後17時くらいから他所の酒場で1次会」みたいなスケジュールで考えるだろうなぁ、みんな(僕だったら、そう考える)。そう思っていたら、やっぱり、そうでした。昼過ぎはスタッフ分や配送予定のお客さんの分を刷りながらのんびり構えていたところ、14時半くらいからパラパラと人が集まり始め、15時半にはピークの盛り上がり。みんなそれぞれのTシャツにプリントする自分のセリフを一生懸命に考えたり、隣のグループと打ち解けて盃を交わしたり、どんどん賑やかになっていきまいした。結局、イベント終了時間の17時を過ぎても印刷は終わらず、会場を貸してくれた「The POOL」の飯塚さんにはご迷惑をお掛けしました。17時前に僕が詫びたところ、飯塚さんは「全然大丈夫ですよ、皆さん楽しそうに飲んでいらっしゃるし」と紳士的に返してくれました。結局最後のプリントが終わる18時前まで参加者の宴は続き、18時過ぎにようやく撤収完了。その後、僕と電気こうたろうと一部のお客さんは夜の池袋へ繰り出し、無事に1次会を開催したのは言うまでもありません。

 

 

NEJI 鶴田

2025.10.21

NE JI ブログ

『イメージビデオ、作りました』

先日、生まれて初めて能登半島を旅してきました(金沢まではひとり旅をしたことがありましたが、奥能登は初めてです)。具体的には能登半島の果て、珠洲市以北の街です。

復興が進まないと言われて久しい震災の被害状況も気にはなったのですが、今回の目的は撮影でした。

 

2025年12月に発売予定の、NEJIによる出版物第3弾・長編小説「さよなら、ロンググッドバイ」。今回の旅は、本作のイメージビデオを制作する上で必要な現地取材と映像素材集めです。勘の良い方はお気づきかもしれせんが、「さよなら、ロンググッドバイ」はDEAD KENNEDYS CLOTHINGの品名(ロングシャツ)から採ったタイトルです。2025年10月時点で本編はほとんど書き終え、あとは校正に校正を繰り返すだけなのですが、なんだかもう出来上がったつもりになって「せっかくだから、小説のためのイメージビデオでも作ってみよう」と自らの首を絞める愚行に走りました。出発の前日にチケットを取るという発作。そして、さらに勘の良い方はお気づきかもしれません。これは前作「アンド・アイ・ラブ・ハー」とまるっきり逆の順番だ(前作ではイメージビデオを小説に書き起こしました)ということに。物語を書くとビジュアルが浮かび、ビジュアルと見ると物語が浮かぶ。マッチポンプというか、永久機関というか、まぁ、NEJIは螺旋状なので必然的に僕の頭がそういう構造になっているのかもしれません。

 

「ビデオを作ってる暇があったらさっさと入稿しろ!ナメてんのか!」という罵声が、透明人間の編集者からは聞こえてきそうですが…あいにく、当方は自費出版のため、担当編集はおりません。DIYで好き放題にやらせてもらいますよ、悪しからず。

 

 

NEJI 鶴田

2025.10.18