NE JI ブログ
『帰省』
地元・熊本に帰省しています。親元でしばらく仕事をしてみようと思ったからです。
僕の実家は熊本県の八代市(やつしろし)というところにあり、一応、県内では第二の都市ということになっているけれど、はっきり言って田舎です。僕が住んでいた30年前まで多少は賑わっていたアーケード商店街も、今や閉店シャッターの嵐。人口も年々減少しているようです。実家の周りをぶらぶらと散歩してみたところ、枯れていく街並み&変わらない風景がそこかしこに雑然と転がっていました。衰退の一途をたどる地方都市にいながらでも東京の仕事がそれなりにできるんだから、随分と便利な時代になったものです。
ともかく、僕はフリーランスになったタイミングで「今しかできないこと」をやろうと決めていたので、この帰省もある意味ではそういうこと。自宅に居ながら(いずれは巣立っていく)少年~青年期の娘・息子と時間を過ごす、実家に居ながら(いずれは旅立っていく)両親と時間を過ごす。ある意味ではどちらも「今しかできないこと」。カッコいいファッションの仕事だけでなく、そういった「当たり前」の中にも「今」が凝縮されているんだと思うようになったのは、僕自身が年を重ねたせいでしょうか?限りある時間の中で、僕は出来うる限り自らの生(せい)に執着したい。ぼんやりと生きてきた学生時代の反動が、今頃になってNEJIを激しく強く回転させているのかもしれません。「今」は待ってくれないのです。
NEJI 鶴田
2025.02.11
NE JI ブログ
『帰京』
2025年最初のイベント「大阪の陣」と「文学フリマ京都9」を終えて、NEJIは無事に帰京しました。
以前に少しだけ関わっていたブランド「Out Of Trad」のポップアップを含めると洋服屋として大阪へ出店するのは3回目だったのですが、それに比べて「文学フリマ」。約900のブースが軒を連ねる会場で、まるっきりのストレンジャー(よそ者)みたいにふらふらと搬入&販売する時間は僕にとって非常にフレッシュな体験でした。洋服屋を25年以上もやっていると、ベテラン選手の気分に浸ってしまいがちなのですが、文学界におけるNEJIはルーキーどころか、新弟子検査すらも合格していない丸っきりのペーペー。長い年月の中で自分が何かを成し遂げてきたとか、何者かであるとか、そんな勘違いをしないためにもアウェイ環境にあっさりと身を置くことはとっても重要なのだと再確認しました。いつでも失敗できる、という心構えで新しいことに挑戦する。なんと素晴らしい時間の過ごし方なのでしょうか!NEJIは2025年もたくさん失敗していく所存です。
さて、そんな所信とは裏腹に「文学フリマ京都9」では嬉しい来客に恵まれました。初めましての方もお久しぶりの方も想定外の更に外の方も、「ともすれば、1冊も売れないんじゃないか」という僕の事前予想を大きく裏切る形で皆様にお会いできて、心より感謝しています。「いつも見ています」と言って下さる方、5年ぶりに会った友人、ファッション業界の大先輩、共通の知人を介した(しかし実際にはほぼ初対面の)デザイナー、京都でのすべての出会いがこれまでの僕の人生に張り巡らせられた伏線を回収しているかのようにも一瞬思えました。しかし、現実は小説じゃない。プロットやラストシーンを想定して逆算するような生き方は(よほど器用でない限り)不可能で、むしろそんな人生は味気ない。実際には、一寸先が分からない闇の中でもがく姿を「どこかで誰かが見てくれている」だけだと思います。こちら側からそのウォッチャーの姿が視認できないのだとすれば、やはり重要なのは「あがき」そのもの。ふと、隣の席を見たら、僕が共同出店を誘った漫画家・電気こうたろう(超・内気な性格)が来場者に向かって一生懸命に声を出しながら「漫画作品ですー、よかったらどうぞー」と、あがいていました(彼の作品は僕よりもずっとたくさん売れました)。
そうそう、来客とは別で、今回僕が特に嬉しかったのは電ちゃんが(彼には「アンド・アイ・ラブ・ハー」の見本誌を事前に1冊渡してあったのですが)「サイコーだった、めちゃくちゃ良い小説だった!」と褒めてくれたこと。僕が大好きな作家が僕の作品を好き(ラブ)でいてくれることは、シンプルに嬉しい。そういった小さな喜びを胸に、目の前のことを生き抜いていきたいと誓った2025年1月でした。「ラブ」とは、僕らが想像しているよりも、ずっともっと小さなものなのかもしれません。
NEJI 鶴田
2025.01.22
NE JI ブログ
『大阪の陣と文学フリマ京都9』
昨晩は(というか今朝の4時前まで)下北沢のバー「ニュー椿」でNEJIのオフ会「結びの一番 ~outro~」をやっていました。エンジニアからデザイナーからヘアスタイリストから洋服屋まで、それぞれがそれぞれに飲んだくれていました。姐さんが皆にシャンパンのボトルを振舞ってくれました。楽しかったですね。
さて。
年明けの話です。2025年1月17日(金)、18日(土)の2日間にBon Vieux×NEJIの大阪ポップアップストア「大阪の陣」を開催します。それに加えて、僕だけ居残り佐平治、1月19日(日)は「文学フリマ京都9」に出展し、小説「アンド・アイ・ラブ・ハー」を販売いたします。当初は1人でブースにぼんやり座っている予定だったのですが、先日突然飲みに誘ってきた漫画家・電気こうたろうにその話をしたところ「いいな、いいなー、最高じゃん!」と言ってくるので「電ちゃんも、出る?」と訊いてみたところ「マジで?イイの?最高じゃん!サイコー!」ということで、小説と漫画のダブルヘッダーになりました。
【大阪の陣】Bon Vieux&NEJI POP-UP STORE in OSAKA 2025
会期:2025年1月17日(13:00~19:00)、18日(11:00~16:00)
会場:大阪市中央区北浜東1-17 北浜東野村ビル4F 北号室
【文学フリマ京都9】
会期:2025年1月19日(11:00~16:00)
会場:京都市勧業館みやこめっせ 1F 第二展示場
「来年の話をすると鬼が笑う」といいますが、来年の話をしなくても鬼に笑われているNEJIの活動に2025年もどうぞご期待くださいませ。
NEJI 鶴田
2024.12.23
NE JI ブログ
『ねじ店2024 結びの一番』開催について
「文学フリマ東京39」が無事に終わりました。旧知の方々は勿論、会場で初めましてのお客さんにも鶴田自ら(当たり前か)熱心に接客をして小説「アンド・アイ・ラブ・ハー」をお持ち帰りいただきました。長年ファッション業界で働いていると、(いい意味でも悪い意味でも)なんだかんだで周りから認知されてくるのですが、こういった畑違いのジャンル(文学・出版)に向かって越境してみると、会場に来客する数千人(いや、一般来場者は1.4万人だったらしい)レベルの人間の99.9%が僕のことなんて誰も知りやしない。そんな気持ちよさがありました。14時間ほど飛行機に乗って海外の見知らぬ街にひとり降り立った時の孤独感、東京の街にいるときは心のどこかで自分を縛り付けてくる「自意識」みたいなものがスルスルっと取り留めもなくほどけていく感じ。ともかく、ご来場いただいた皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。
さて。
NEJIによる今年最後のポップアップストア【ねじ店2024 結びの一番】は12/14(土)・15(日)の2日間、高円寺「Bon Vieux」にて開催します。英仏伊のデッドストック生地を使用したジャケットをはじめ、新型の2プリーツワイドトラウザーズなどがリリース予定。加えて12/1(日)の「文学フリマ東京39」で発売されたNEJI初の長編小説「アンド・アイ・ラブ・ハー」や【ねじ店2024 秋のあくび】でお披露目した私物ヴィンテージタイなども勢揃いし、まさに今年最後の大一番。2024年の土俵際。新弟子検査から2年目のねじ乃里は果たして無事に幕内昇進なるか?ならないのか?お時間ありましたら、高円寺まで座布団投げに来てください。四股でも踏みながらお待ちしています。2025年の話をしましょう。
【ねじ店2024 結びの一番】
会期:2024年12月14日(土)・15日(日) 13:00〜19:00
会場:高円寺「Bon Vieux」
東京都杉並区高円寺南2-14-5
NEJI 鶴田
2024.12.03
NE JI ブログ
『Ordinary People(普通の人々)制作秘話』
まさか、鈴木親氏が引き受けてくれるとは思わなかった。昔から好きだった世界的な写真家と一緒に作品作りをできるなんて、NEJI冥利に尽きるとは正にこのことです。
NEJIのInstagramアカウントを開設したのは、2023年の6月ごろ?それから数ヵ月が経った頃、鈴木親氏のアカウントがNEJIをフォローしてくれていることに気付いた。僕は嬉しかった。これは少なくともNEJIに興味を持ってくれているということだから、いつか一緒に仕事ができたらいいなと思っていた。それから1年が経ち、今年の秋。「いつか一緒に、って一体いつの話だよ!」と自問自答した結果、それは「今」だろと無理矢理に結論付けた僕は数日で企画書を書き上げ、思い切って鈴木氏のアカウントにDMを送ってみた。数日が経っても返事はないので「突然DMするなんて、そりゃそうだよな」と半ば諦めていたところ、4日目くらいに「こんにちは、鈴木です。鶴田さんのことはAmvaiなどで存じ上げておりました。打合せしましょう」と返信が来た。僕はドキドキした。鈴木氏は普段スマホを持ち歩いていないことが多いらしい。
ということで、数回の打合せを経て(いくつかのアドバイスを頂きながら)作り上げた作品が、現在公開中『Ordinary People(普通の人々)』です。2日間にわたって、都内各所で撮り下ろした作品群。いかがですか?僕はとても気に入っています。僕のドキドキもちゃんと写っている気がします。今回の撮影に協力してくれた鈴木氏をはじめ、全てのキャストに感謝しています。
NEJI 鶴田
2024.11.08